愛願獣
私の生まれつき背負った業、天与呪縛はその中でも特異
「誰にも好かれず、私の姿を一目見た者は強い嫌悪感を抱かずには居られない」
などという代物なのでした
かといって私を愛して下さった方がいなかったという事はありません。餌差の当主様は変わった趣向の持ち主でありました、私への嫌悪感ごと愛し十にも満たぬ童の頃から抱いてくださったのです。
それに加えてもう一人
呪術高専での私の先輩、彼は私の素顔を見ても、私の声を聞いても、私に触れても、一切私のことを嫌悪せず確かに心を持っていて、私のことを愛してくれた
こんな私の初恋だった、彼にだったら何をされても良かった、愛の証拠が欲しかった、愛の保証をして欲しかった、もっと褒められたかった、愛でられたかった、撫でられたかった、好かれたかった
彼の為なら誰であろうと私であろうと彼自身であっても殺せた
彼の為なら誰であろうと私自身であろうと彼のことさえ裏切れた
彼の為なら誰であろうと私のことだって彼のことだって生かせた
私だって彼の幸せを願いたかった
でも、世界で私を愛してくれるのは彼しかいないんだから、彼の愛は私が全て貰えなきゃ、不平等じゃないか
解っていた、私が彼の隣にいることは出来ない
こんな思考を何度繰り返しても私が愛されることは無い、彼への懺悔にもなり得ない